院内物流管理システム(SPD)とは
目次
院内物流管理システム(SPD)とは
医療機関では、日々あらゆる部署でさまざまな物品が消費されています。各部署へ医薬品や医療材料といった消耗品を、必要なときに必要な量を供給するシステムを総じて「SPD」といいます。
SPDは「院内物流管理」「医療材料物流管理」とも呼ばれます。この業務は自院でシステムを構築する場合と業者に委託する場合とに大きく分けられ、それぞれにメリット・デメリットがあります。
もともとはアメリカの医療コンサルタントが、経済危機に陥った病院を救うために提唱したプランで、
病院の物流効率化策「購入物品、滅菌再生物などの病院流通物品の管理供給と一元化構想プラン」のことを指します。
日本にこの概念が入ってきたのは、平成初期ごろと言われています。
SPDの狙いと目的
SPDの目的は「供給(Supply)」「加工(Processing)」「分配(Distribution)」の英語の頭文字を取った言葉です。病院では医薬品や試薬や滅菌、手術器械や日用品など大量のものが取り扱われています。
入手するには取り引きもありますし、コストを抑えるためにも相場情報を集めなければなりません。何が不足していて補充が必要かの把握も必要です。日常的に忙しい病院業務の中で、取引や在庫の管理作業は不可欠ですがスタッフの負担にもなります。SPDは複雑で作業量も多い取り扱う病院で必要な物品や管理業務を、コンピューターを用いて管理するシステムです。
- 物品物流の管理
- 購買管理
- その他の管理
SPDの代表的な業務は上記3つです。実際は各管理の中に細かな管理業務が含まれます。
物品物流管理
物品物流管理をおろそかにすると、患者の命取りになります。薬品が不足すれば有効な治療ができなくなります。しかし、在庫数を考えず購入すると過剰在庫につながりますし、消費期限を超える薬品も多くなりコストがかかり過ぎるでしょう。物品物流管理は需要と供給のバランスを取るために適切な在庫管理が必要です。
購買管理
購買管理もメリットを得られる分野です。相場通りの適切な価格か、購買交渉やもっといい商品があれば切り替えも必要でしょう。購買管理は受発注から購買価格まで管理する業務で、病院の経済的な安定経営のために不可欠です。
その他
その他の管理業務も非効率だと経営と作業を圧迫します。消費データや保険請求漏れや原価管理、医薬品や診療材料に関すること、物品の発注や納品まで管理がスムーズでないと関わる人の負担になるのです。患者からの問い合わせ対応も、問題があれば病院の悪評につながりかねません。
SPD導入のメリット
SPDには多くのメリットがあります。主に「コストカット」「不良在庫の削減」「適切な保険請求」「業務効率化」です。
SPDを導入すると本当に必要な品目数を絞れます。医療行為に必要な薬品や小物類は消費するものですし、使い捨てのものもあるため適当に仕入れていると資金不足となり経営を圧迫する要素です。無駄が減るためコストカットが期待できます。
不良在庫の削減もコストカットにつながる要素です。過剰在庫や消費期限切れなど適切に管理できるため無駄を削減できます。不良在庫が減少すれば管理もしやすくなるのです。
適切な保険請求もできます。保険請求漏れが多発すれば病院の経営はすぐに厳しくなるでしょう。また、PSDは資金面や経営面へのメリット以外に業務効率化が期待できるのです。各部署で在庫も含めた管理業務が効率的になれば、提供する医療サービスの質の底上げにもつながります。結果、人に選ばれる病院になれば、患者も増えて経済的な恩恵が期待できるのです。
SPDの運用方法とメリット・デメリット
SPD業務を運用形態には、3つの選択肢があります。システムを導入して自院で運用するタイプ、外部業者へ委託するタイプ、購買や調達だけ自ら行うタイプです。
SPDシステムを導入して自院で運用
SPDシステムを導入し、自ら運用します。適切に運用するには運用スタッフの教育が必要です。人材不足の場合、SPDシステムの知識や経験がある人員を新しく募集しなければなりません。知識や経験が0なら、運用スタッフへの研修が必要です。
病院内にSPD用のスペースの設置も求められます。薬品や消耗品などの納品時に検収するための作業スペースが必要です。各部署へ必要な物品を補充するためにもスペースがないと業務もしづらくなります。導入後、自院だけで適切に運用できるか、不安要素がないかも含めて事前検討が必要です。
自院で運用するメリット
自院運用する場合、委託料金は不要です。委託料金は1,000万円以上必要ですから、資金面に余裕がある病院でなければ契約はむずかしいでしょう。他にも、薬や機械など医院が自由に選べます。提供する医療サービスや患者と相性が合うものを自由に選べるのです。SPDを外部委託した場合、委託業者が決定した調達先しか選べません。
自院で運用するデメリット
自院運用を行うには、運用スタッフの習熟度が不可欠です。自院で教育をするか、または求人を出してすでに専門知識を持っている人材を確保するという解決策はあります。ただ、時間もかかりますし、教育のためのコストもかかることは否めません。
多くの病院では人員不足の問題が叫ばれています。新しくSPDを導入したとき、業務の負担に音を上げるスタッフが出てくるリスクもあるのです。
外部業者に委託
外部業者に物品管理に必要な業務をすべて任せることで、病院スタッフにかかる業務負荷や在庫負担を軽減できます。人手不足が課題となっている病院側にとってメリットが大きいため、病院のSPD業務といえば外部業者にすべて委託する方法が主流です。
外部委託するメリット
外部委託すれば運用するための人員確保や教育が不要です。外部業者が管理を行ってくれるため、スタッフは管理業務に追われなくなります。外部業者はノウハウを持っているため、自院で行うよりも適切な運用が期待できますしコストカットや過剰在庫といった問題の解決を通じ、経済的な問題の減少が期待できるのです。
SPDに必要な作業スペースの問題に悩まされません。結果、医療サービスの質の向上にもつながります。独立行政法人福祉医療機構が公表した2020年度の病院の医薬品や医療材料や医療消耗器具備品の購入に対するアンケートの中では、54.5%の病院でSPDを導入していたという報告もあります。
外部委託するデメリット
独立行政法人福祉医療機構が2020年度(令和2年度)に行なった医薬品・医療材料・医療消耗器具備品の購入に関するアンケート調査(※1)によると、SPD業務を外部業者に委託している病院の年間委託費用の平均は約1,352万円。35の病院による回答から割り出した数字なのでサンプル数が少ないことに留意する必要はありますが、中小規模の病院にとっては委託費用の負担は大きなデメリットとなりそうです。
また、外部委託にはコストのほかにも以下のような課題があげられます。
- 購買(調達)先を自院で選べない
- 病院側にSPD業務の情報・知識がないことで委託業者の言いなりになりやすい
- 自院に合ったSPD業務を委託できる業者を探すのが難しい
自院に合っていない業者だと外部委託による費用対効果がつかみにくいため、病院に合わせて管理・運用方法をカスタマイズできる柔軟性があるかどうか、どれだけの医療機関から選ばれているのかの導入実績数などを参考にしながら慎重に検討する必要があります。
※1参照元:[PDF]独立行政法人福祉医療機構公式HP(https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/210310_No014.pdf)
SPD委託業者切替時には注意が必要
契約期間が過ぎたときSPD委託業者を切り替えることもできます。期待以下の結果しか出なかった、委託業者への支払いが高額過ぎる、資金面の問題です。ただし、契約更新のタイミングで別のSPD業者に切り替えるとき、業者の選定は慎重にしなければなりません。
SPD委託業者も千差万別で独自のサービスを提供しています。たとえば、資金面の問題で、リースナブルな価格設定を売りにしている委託業者と契約を結んだ結果、以前の業者よりサービスの質が落ちたとなれば問題です。
SPD業務は複雑で専門知識も求められます。ただ、運用するのは委託業者であっても人であることは変わりません。委託業者のスタッフにも習熟度の差があり、サービスが低下する、トラブルが起きるケースがあります。その点も含めてSPD委託業者の選定では慎重な検討が求められるのです。
購買や調達だけ行い物流管理だけ委託
購買や調達業務のみを自ら行い、物流管理だけ外部業者に委託します。すべての運用を自ら行うのと同様に作業スペースが必要です。運用中の在庫に関しては買取になるため負担が大幅に軽くなるわけではありません。
SPD業務が抱える問題点
SPD業務を自院で運用する場合、使用している医療材料や医薬品をはじめ、年間購入量や部署別の消費量、同種同行品の使用量などを把握し、価格比較を行なう必要があります。ただ、医療材料や医薬品が多品種化している昨今、自院での運用では管理が追いつかずに死蔵在庫や不良在庫が発生する原因になることも。そのため、SPD業者に外部委託する病院が増えているのが現状です。
外部委託するにあたって契約更新のタイミングで業者を切り替えることもあると思いますが、切り替えたことによりトラブルやパフォーマンスの悪化につながるケースが多々あり。その主な原因としてあげられるのが、病院側が委託費用の安さだけで選んでいること。SPD業者によってサービスメニューが異なるため、それを把握しないまま安さを最優先に選んでしまうと、以前よりも費用対効果が悪くなる可能性があります。
SPDにおける在庫管理の方法
SPD業務を外部委託する場合、医療材料や医薬品などの在庫管理の方法としては「預託方式」と「消費委託補充」があります。在庫をどう管理するかはSPD業務の課題になりやすいため、それぞれの違いをしっかりと押さえておきましょう。
預託方式(預託消化払い方式)
SPD業務における預託方式とは、病院が選定・指定した数量の定数物品をSPD業者が預かり、定期的に補充するサービスのこと。定数物品が各部署に供給・配置された段階では所有権はSPD業者にあり、消化した時点で病院側に所有権が移って債務が発生するのが特徴。病院側にとっては在庫を保有する必要がなく、無在庫化を実現できるメリットがあります。
ただし、定数物品が変更または不稼働在庫になった場合、契約によっては残っている在庫を病院側がすべて引き取らなければいけないことも。残った在庫の責任の所在をSPD業者との間で明確に取り決めておかないと、トラブルが発生する原因になります。
消費委託補充
預託方式が定数物品を消費した時点で所有権が病院側に移るのに対し、消費委託補充は倉庫に納入された時点で所有権が病院に移転する方式のこと。倉庫から払出された分のみの費用が月末にSPD業者から請求されます。
SPD業務のこれからの課題
SPDの重要性が理解されつつありますが、それでも経営層が医療材料や医薬品の管理を軽視していたり、現場がSPD業務の本質や仕組みを理解していなかったりという課題がまだまだ残っています。
SPD業務の外部委託で医療の質の向上につなげるためには、まずはSPDについて理解を深めることが必要不可欠です。SPDについて理解したうえで自院がSPDに求めるものをハッキリとさせておかないと、業者の選定がうまくいかず、自院の医療サービスと業者のサービスとのミスマッチを招く可能性があります。
また、SPD業者と預託方式の契約をする場合、トラブルにならないように在庫処分や保管などに関する責任の所在を明文化しておくことも大切です。
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