単回使用医療機器とR-SUDについて
目次
単回使用医療機器とは
単回、つまり一回限り使用できることとされている医療機器です。「Single-Use Medical Device」の頭文字を取って、略してSUDとも呼ばれます。
R-SUDとは
単回使用医療機器(SUD)を適切に収集・処理を行って再製造(Remanufactured)して使用することで、これらの頭文字を取ってR-SUDと表記します。
R-SUDの使用に問題はないか
使用済みのSUDであっても、適切な処理を行えば再使用できるようになります。
資源の有効活用や医療廃棄物の削減、医療費の低減の可能性などから、国はR-SUDの再製造を認める方針を示しました。R-SUDの環境整備や業界団体などの設立が進められており、厚労省の審査を受けた企業であればR-SUDに取り組めます。
R-SUDの原則
基本的な考え方
使用済みSUDを、許可を受けた医療機器製造販売業者が適切に収集して分解や洗浄、部品交換、再組立、滅菌等の処理を行えば再び使用できます。オリジナル品の製造販売業者と同じ業者でなくても再製造を行えますが、R-SUDを製造・販売するには製造販売業の許可が必要です。また、オリジナル品とは別の品目として、承認を得なくてはなりません。
対象となる医療機器
- 国内の医療機関で使用されたSUD
- 植え込み型医療機器は対象外
- 原則、使用成績評価期間中の新医療機器は再製造の対象にならない
- 脳、脊髄、硬膜、網膜または視神経に接触したもの、感染症法に定める感 染症(一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、新型インフル エンザ等感染症、指定感染症もしくは新感染症の患者)の治療、検査等に 使用されたもの、最大製造回数の再製造がなされたものは再製造に用い ない
※引用元:株式会社ホギメディカル「医療資源を有効活用し コスト削減へ。SUDの再製造を推進(PDF)」 (https://www.hogy.co.jp/pdf/medical/operatimes/opera_vol07.pdf)
R-SUDの製造フロー
収集
まず、医療機関で使用された単回使用医療機器(SUD)を収集します。R-SUD事業者は、どんな容器でSUDを収集するかなどを事前に決めて申請しておかなくてはなりません。
運搬
収集したSUDをプラスチックの密閉容器に入れ、段ボールで梱包して運搬します。感染症廃棄物と同じく、運搬中に菌やウイルスなどの病原体による感染を防ぐために梱包が必要です。分解
収集したSUDを、部品のレベルまで分解します。医療機器など分解しにくいものによっては、専用の工具を用いることもあります。
洗浄
R-SUDはまだ新しい制度のため、基準となる洗浄方法がまだ確立されていません。現在は機器の汚染度や残留血液・タンパク質の平均値などのデータを収集している段階です。
汚れの程度や経過日数、血液の凝固など、医療機器の状態によって洗浄剤や温度設定、洗浄方法を変えて洗浄します。
部品交換
使うたびに部品交換が必要、または2回に1度は必要など、部品交換のタイミングは医療機器によってさまざまです。医療機器に合わせて部品を交換します。電気を通すような医療機器の場合、原則として毎回の交換が想定されています。
再組立
1つの個体に対し、必ずしも1つの製品を再組立できるわけではありません。分解や洗浄後、交換が必要な部品を取り除くと、収集した数よりも少ない再製造品になる場合もあります。部品ごとにID管理を行い、ロットごとに再製造できる数や回数を調べます。
検査・試験
日本のR-SUDでは、どのような検査・試験を行うかについてまだ確定はしていません。今の段階では、オリジナル品と同等の性能が確保されているかを確認します。ちなみに、アメリカでは全品検査が行われています。
本体印字
オリジナルのメーカー名や品名などは残し、再製造を行ったメーカー名と製造番号を印字します。R-SUD製品であることがひと目で把握できるよう、「再製造」という文字の印字も必要です。
包装・滅菌・出荷判定・出荷
従来の医療機器やオリジナル品と同じように、包装から出荷までの作業が行われます。特に再製造特有の作業は加わりません。
国内外のR-SUDの歴史
米国
アメリカでは、2000年代に入ってからR-SUDに関する規制導入が進められてきました。
2008年には米国会計検査院(GAO)が「R-SUDはオリジナル品と同等に安全である」との見解を出し、単回使用パルスオキシメータプローブや超音波処置用能動器具、腹部用トロカールなど様々な医療機器でR-SUDが使用されています。
欧州
2002年、ドイツがR-SUDに基準を設け、事業を開始したのをきっかけにEU全体で注目されるようになりました。2016年にはR-SUDに関するEUの統一規則が決定し、イギリスではガイドラインが公表されるなど導入が進められています。
日本
日本でSUDの再使用について問題が取り沙汰されるようになったのも、アメリカや欧州と同じ2001年ごろです。ただ、再使用の報道などで注意喚起はあってもR-SUDの導入は進められていませんでした。2015年に入り、やっとSUDの再製造に関する研究がスタート。
2017年に厚生労働省が「単回使用医療機器(SUD)再製造制度」を施行してR-SUDを認める方針を示し、環境整備が進められています。
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